詩は私にとって、心に感じたまま、心に映った文字そのものを純粋に移し替える作業だ。 涙を思い浮かべれば、涙と描く。 悲しいと思ったら、そのまま悲しいと描く。 美しかったら、すぐに心の中で言葉に変換する。 その自由さはきっと、沢山の絵具を使って描く絵画と同じだ。 沢山の種類の絵具を使い表現するか、言葉を使って表現するか、その手段の違いだけだ。 自分の感性に純粋に従う事、自分に対して自由である事。 苦しみも、悲しみも、喜びも、嬉しさも隠さない事。 本当はすべて、詩を描き始めた時から何も変わっていない。 いくつになっても変わらない。いや、変わりたくない。 けれど、年を追うごとに感受性は、鈍くなってゆく。 若い頃は多感さゆえに感じられていた世界も、年を取ると知らぬまま通り過ぎてゆく。 まるで、過去の忘却の彼方の忘れ物のように。 だから、私の詩集は、そういう時への抵抗かもしれない。 そういう自分であり続ける為に、目に入った現象を、感じた現象そのものを言葉に置き換えた、海色の指輪に。
Book Details: |
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ISBN-13: |
978-613-8-24611-4 |
ISBN-10: |
613824611X |
EAN: |
9786138246114 |
Book language: |
日本語 |
By (author) : |
大橋 宏 |
Number of pages: |
148 |
Published on: |
29.08.2018 |
Category: |
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