「ただ一度だけ、二人で過ごした時間の中で、嘘の刻印、その刻印を壊す時があった。嘘の住民が、心の中に異なりを呼び起こそうとした時だった。 それは、彼女の一言だった。 『海が好きだから、私は、この波が奏でる音楽を聴きに来るの。』 あの一言だけは、私の胸に深く刻み込まれていた。」(本文より抜粋) 波の奏でる音楽。 その奏でる音色に自分を投影した。 バーチャルリアリティーがとてつもない速度で加速する世界に生きるのは、自分がゲームの中の住民でなければならない。嘘の中で、嘘を貫くことでしか解決しない。けれど、その嘘もいつしか壊れる時が来る。 美と悲劇、東洋的な儚さに迫り、現代が向かっている絶対的な仮象への姿に、人間存在そのものの置かれている状況を小説に託した。 シンボリックな表現、「心の異なり」、「雪片」を散りばめ、「波の奏でる音楽」でSyntheticにまとめ上げた、シンボルと形式、テーマの関係性を追求した作品。 他、ギリシャ人ソプラノ歌手との対話から生まれた作品「Capri Blu」、その他、詩集5作品を含む。
Book Details: |
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ISBN-13: |
978-613-8-25565-9 |
ISBN-10: |
6138255658 |
EAN: |
9786138255659 |
Book language: |
日本語 |
By (author) : |
大橋 宏 |
Number of pages: |
220 |
Published on: |
12.11.2018 |
Category: |
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