ヒトの呼吸を記述する生理的パラメータは常に揺らいでいる。その揺らぎの起源は?生理的パラメータの揺らぎは生命現象と深く結びついている。そのような生命現象と結びついた揺らぎを”生物学的揺らぎ”と呼ぶ。生物学的揺らぎの持つ特徴を確率過程を記述する数理(確率過程論)からアプローチすると生理的パラメータのダイナミズムが量子論と同じ形式のシュレディンガー方程式で記述できることが明らかになる。本書はマクロな生理的パラメータの揺らぎに潜む量子論理的な性質を抽出することで、生理的パラメータの持つ生物学的な側面が抽出できることを論じている。マクロな現象をミクロな量子的現象と結びつける方法としてデビット・ボームが提唱した量子論の因果的解釈(ボーム量子論)を採用すると”生物学的揺らぎ場”という新しい概念が導入できる。この新しい”生物学的揺らぎ場”が、細胞から構成された器官の機能を特徴づける。器官機能の正常と異常を生物学的揺らぎ場の性質に還元することができれば医学的な正常と異常を揺らぎ場のパラメータの違いとして定義できることになる。本書で論じている数理的なアプローチは、いま急速に進展している”生体器官の機能イメージング”から医学的に有用なパラメータを発見する手がかりを提供すると思われる。数学の素人が書いた数理の本であるので、数理的なアプローチを生物学的な分野に応用したいと思っている若き人たちには大学初年級レベルの数理的センスで読んでもらえると思っている。

Book Details:

ISBN-13:

978-613-8-25188-0

ISBN-10:

6138251881

EAN:

9786138251880

Book language:

日本語

By (author) :

Kyongyob Min

Number of pages:

60

Published on:

15.10.2018

Category:

Theory of probability, stochastics, mathematical statistics